人が人を裁く必要が無いということ
3年前だったろうか・・・
滅多に会うことのない知人と飲む機会があった。
その人物は、昔から“だらしのない”人間で、パッと見、何も取り柄(え)が無さそうに見えるのだが、何故かお金に関しての知識だけは豊富だった。
そんな人間が酔うと、出てくる出てくる“いかがわしい”内容の儲け話。あまりにも難しい内容だったのでついていけなかったが、要するに・・・
脱税だ…
有名人というわけでもなく、何億何千万という金額を脱税しているわけでもないので、国税局の監視の目から逃れられるということだった。
私は心の中で、激しくその人物を軽蔑した。
そんなことで贅沢三昧が許される世の中でいいのかと、国税局に密告することも考えた。
だが、私はしなかった。
なぜなら「人が人を裁く必要はない」と、どこかで聞いたからだ。
「裁く」とは・・・善悪・理非の判断をすること
とあり、ちょっとこれだけでは判断し兼ねますが、恐らく3年前のこの件に当てはまるケースであったと思います。
「人が人を裁く必要はない」
本当に、この言葉は正しかったのかどうか試したかったのだ。
3年が経過した。
もう、そんなこと忘れていた・・・
だが、そんな忘れた頃にやって来た。
どうやら、その人物は借金苦から会社の金に手を出してしまいクビになったらしい。
この結果が本人にとって悪かったのか、それとも良かったのかは分からない。
しかし、自ら手を加えなくとも結果は同じだったということが証明された。
この3年という時間は、その人物と私に一体何を教えてくれたのだろうか・・・