「簡単に手に入るモノ」「うまい話」には気をつけた方がいい話
3ヶ月くらい前だろうか・・・
職場の外にあるゴミ置き場が、急に漁(あさ)られるようになった。
“何か”がいる・・・
そのゴミ置き場に、生ゴミは置いていないのだが、若干混じってしまう生ゴミが存在する。
そのエサを求めてか、ネズミが引っ越しをしてきたようだ。
実際にネズミを見たことがある方ならおわかりだろうが、“生の”ネズミというのは写真のように愛くるしい姿をしていない。
目はドス黒く怪しげに光り、なぜか尻尾だけ異様な模様をしている。
肉眼では捉えきれないほど逃げ足も速く、まるで、巨大なゴキブリを見ているかのような気持ち悪さだ。
そこで、私は“あるもの”を用意した。
横長のステンレスでできた箱形トラップで、ネズミが入ると扉が閉まる仕組みになっている。
そして、そこにネズミが捕まったら縦にし、水を入れ「溺死」させるという道具だ。
早速、それを仕掛けると2、3日でネズミが引っ掛かった。
一匹・・・
二匹・・・
三匹・・・
・・・一匹だけかと思いきや次々と捕まるネズミ達。
それでもいっこうになくならない
ゴミ漁り
捕まったのは小さい子ネズミばかりで、犯人は親ネズミだった。
体長は小さい“うさぎ”くらいだろうか。
もし、あの箱の中に入ってしまっても、想像するだけで処理に困る大きさである・・・
しかし、何ヵ月経っても親ネズミはトラップには引っ掛からなかった。
それからしばらくして、その親ネズミをゴミ置き場から離れた草むらで見かけ、
目が合った・・・
なにやら子供を探しているように私には見えた・・・
ネズミ達は何も悪くなく、ただエサを求めてゴミ置き場付近に巣を作り生活をしていたが、人間の都合により家族が離れ離れになってしまった。
何か悪いことをしてしまったような気分になった・・・
それからネズミの姿は一切見なくなり安堵した私だったが、今回の件は戒めのようにも感じた。
ネズミの知能では到底理解できないであろう人間の世界。
それと同じく我々人間の知能では到底理解できない“何か”の世界。
その世界で“何者か”が、ぶら下がった人参に飛び付く自分を見ているかもしれない。
はたまたそれは、生身の人間かもしれない。
「簡単に手に入るモノ」「うまい話」は安易に手を付けない方が無難だ。
とは言っても我々人間も、このネズミと一緒で、痛い目に遭わないと分からない生き物ですけどね・・・
ちなみに子供のネズミは近くの神社に逃がしました。